eスポーツはオリンピックに採用されるのか?
eスポーツが競技として採用されるのが注目されている中、この記事では、オリンピックでeスポーツが採用される可能性を様々な視点で調査しました。
eスポーツはオリンピックに採用される?

eスポーツの競技人口は、世界で現在数億人以上いるといわれています。
世界中で認知拡大中のコンテンツであり、日本での認知度も確実に上がっている状況です。
アジア地域でeスポーツは、2018年の中国・杭州大会から公開競技のメダル種目として認可・実施されました。
eスポーツをオリンピック種目として採用すべきかどうか、反対・賛成意見をみてみましょう。
反対意見
e-Sportsがオリンピックに採用されない理由の一つとして有力なのが「暴力や差別を助長する恐れのあるゲームは開催できない」ことです。
平和の祭典であるオリンピックの中でバトルやシューティング系のゲームを採用することはできないといった意見が多いです。
また、ゲームの許諾の問題があります。
サッカーや水泳、陸上競技などの一般的なスポーツはパブリックコンテンツですから、許諾を得る必要はありません。
一方で、オリンピック委員会は、オリンピック競技に関する放送権の販売など、版権に関連したビジネスも行っています。
ゲームの著作権側に使用許諾を得る必要が出てくると、さらに手続きが複雑化します。
もう一つの問題は、ゲームの内容によってルール自体が固有で分かりにくいことです。
ゲームはそれぞれルールが異なるため、観戦者が理解できるかどうかが疑問視されています。
ルールを明確化しない限り、観戦者は増えることがないとみられています。
賛成意見
アジア地域における公式競技大会では、2018年にeスポーツが中国・杭州大会からメダル種目として公開競技として認可され実施されました。
国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が、「将来的に五輪競技として検討する可能性はイエスだ。だが、時期による」と発言しています。
オリンピックバーチャルシリーズは、バーチャルスポーツの分野で新たにデジタルなオリンピック体験を提供し、視聴者との関わりを促進することを目的としたユニークなものです。
その構想は「アジェンダ2020+5」とIOCデジタル戦略に沿って実施されます。そして、オリンピックの価値を上げることが目的となります。
eスポーツをオリンピック競技として導入する一番の理由は、オリンピックの価値向上を目的としています。
eスポーツのオリンピック採用はいつから?

パリ五輪招致委員会の共同議長がeスポーツに興味を示しており、2024年のフランス大会でもeスポーツイベントが開催される可能性はあります。
2021年の5~6月にかけて開催された「Olympic Virtual Series」では、野球(パワフルプロ野球)、自転車競技(Zwift)、自動車競技(グランツーリスモSPORT)、セーリング(Virtual Regatta、Virtual Regatta SAS)、ボート競技(World Rowing)が盛況となりました。
東京オリンピックの一環としてではなく、あくまでも別イベントとして扱われましたが、IOC主催ということもあり、徐々にオリンピック競技としての土台を作り始めているように感じます。
徐々にオリンピック競技としての土台を作り始めているように感じます。
従来のスポーツビジネスとは違って、ゲームごとにレギュレーションが異なるため、主催側も難しいと感じているのではないでしょうか。
現在もオリンピックの種目に採用されるよう、積極的な競技化が進んでいます。早ければ2024年のパリオリンピックで前向きな動きがあると予想されます。

AD
候補となるゲームタイトルは?

実際にオリンピック競技に選ばれるゲームタイトルは何が挙がるのでしょうか?
色々な意見を踏まえると、暴力表現がないアスリートスポーツを題材としているゲームになる可能性が高いです。
その上で、観戦者側も分かりやすいルールが必要ならば、ある程度絞られるのではないかと思います。
オリンピックに近いアジア競技大会や日本の国体などを例に採用タイトルを見ていきましょう。
タイトルは大会によって様々
国内外での大型eスポーツイベントである「Olympic Virtual Series」、「アジア競技大会」、「国体」を例にタイトルを見ていくと、各大会ごとに取り扱われている種類は様々です。
イベント | 主なタイトル | 傾向 |
Olympic Virtual Series | 野球(パワフルプロ野球)、自転車競技(Zwift)、自動車競技(グランツーリスモSPORT)、セーリング(Virtual Regatta、Virtual Regatta SAS)、ボート競技(World Rowing) | 実在のフィジカルスポーツ |
アジア競技大会 | 『クラッシュロワイヤル』『ウイニングイレブン 2018』(海外名は『PES2018』)『ハースストーン』『StarCraft II』『リーグ・オブ・レジェンド』 | “テンセント”が絡んでいるメーカーのタイトル |
国体 | 『ウイニングイレブン2021』『プロ野球スピリッツA』『グランツーリスモSPORT』『モンスターストライク』『パズル&ドラゴンズ』『ぷよぷよeスポーツ』 | “JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)”に絡んでいるメーカーのタイトル |
眺めているとタイトルには偏りがあり、一貫性がないように思えます。
多くが有名タイトルなので、観戦者側に配慮されているものの、国や地域性による偏りが抜けきっていないと言えます。
この偏りを無くすことが大きな改善ポイントになりそうなので、どのようにまとまっていくのか注目していきたいです。
ゲームタイトルは統一されていくのか?
現在のeスポーツの大きな課題の一つとして、タイトルの選別が挙げられます。
オリンピック委員会をはじめとする機関が、公式競技としてゲームタイトルを決定していくのがベストでしょう。
ゲームは旬があるものなので、何年も同タイトルでオリンピックを続けるのは難しいです。
その時々にあった流行のゲームを取り込むことで、観戦者の支持を得られる一方で、メーカーや国との癒着が起きてしまう可能性があります。
世界で共通のプログラムを競技にすることが理想ですが、まだ環境は整っていません。
オリンピック以外の大規模な公式大会を繰り返すことで、レギュレーションが固まっていくでしょう。
eスポーツがオリンピックに採用されるメリットは?

eスポーツは2018年以降に登場した新しい概念ですが、すでにもうオリンピック競技になるという話まで上がっています。
eスポーツをオリンピックに取り入れるメリット
- eスポーツの大衆周知
- TV放送など、オリンピックそのものの活性化
- 若年層のファンの獲得、求心力の低下の抑制、話題性の強化
eスポーツの大衆周知
最大のメリットは、eスポーツが多くの人に周知されることです。
耳にするeスポーツは話題としてはかなり浸透し、単語の認知度も飛躍的に上がってきていると思います。
しかし、市場自体の認知度はまだまだ確立しているとは言えません。
その点、世界中で放映されているオリンピックなら、一気に多くの人に周知させることができます。
また、eスポーツ選手が公式にオリンピックに出場し、メダルを獲得すれば、選手の地位の向上や発展を進める大きな力となります。
TV放送など、オリンピックそのものの活性化
日々変化していくスポーツシーンにおいて、東京オリンピックで初採用となったスケートボードやサーフィン、スポーツクライミングなどが脚光を浴び、その業界が活性化しました。
一度オリンピックで取り上げられた競技の認知度は大きく向上します。
eスポーツの活性化のためにも、ぜひオリンピック種目に採用されたいところです。
ただ、東京オリンピック2020でも、33競技、339種目ありましたが、すべてが放送されるわけではなく、人気競技、新設競技など、話題性があって視聴率を見込める競技しか放送されないのが現実です。
また、IPホルダーの関係もあり、特定スポンサー番組が個別のゲームタイトルを連呼する場面を映像で流すことは難しく、課題も残ります。
若年層のファンの獲得、求心力の低下の抑制、話題性の強化
eスポーツが公式競技となれば、ゲーム好きの若年層に対するアプローチが可能となります。
若い層に注目してもらうための新たな取り組みとして、eスポーツのオリンピックイベントOVSが導入され、身近に感じてもらえる機会も増えています。
子供のうちから触れることで、eスポーツ選手という将来の目標が出来るなど、生き方の幅も広がっていきます。
オリンピックの公式アナウンスで明言はないものの、着実に前進しています。
公式サイトでOVSは、「東京2020オリンピックに向けたグローバルeスポーツトーナメント」と名言されており、もちろんIOCからの支援も受けています。
ある意味、現スポーツ業界以上に健全な市場であることから、抑制される動きはなさそうです。
一つ一つ課題を解決して、いち早くオリンピックに登場することが望まれます。

eスポーツがオリンピック種目に採用される際の問題点

2022年に中国で行われるアジア競技大会では正式種目にという話も出ているため、前向きな議論が増えてきています。
こうした動きに、業界はもちろん、オリンピックの正式種目入りもあるのではないかと盛り上がったのですが、オリンピック委員会側は慎重な姿勢を貫いています。
IOCのバッハ会長は、取材に対して以下のように答えています。
We cannot have in the Olympic program a game which is promoting violence or discrimination. So-called killer games. They, from our point of view, are contradictory to the Olympic values and cannot therefore be accepted.
-AP NEWS-https://apnews.com/3615bd17ebb8478ab534691080a9a32a
要約すると、「暴力や差別を助長するゲームは、オリンピックの意義に反するので認められない」ということです。
eスポーツの中でもFIFAやPESのようなスポーツ系タイトルなら、大きな問題はないと見られます。
しかし、「平和の祭典」であるオリンピックでは、「Call of Duty」などのFPSは却下される可能性が高いです。
人気タイトルだけに集客力は魅力的ですが、全世代に向けて世界中継されるのですから致し方のない判断でしょう。
オリンピックの正式種目として採用されるには、乗り越えなければならない課題がまだまだ存在しています。
eスポーツはパラリンピックでも候補に挙がっていたのですが、国際eスポーツ連盟がIOC承認団体という条件を満たしていないので、現時点で間に合いそうにありません。
実現するのであれば、2028年に開催されるロサンゼルスオリンピックではないかと思われます。
2028年までは時間もありますし、eスポーツ業界を常にリードしてきたアメリカが開催国となるため、現実的に考えて十分に可能性はあると言えるでしょう。

AD
オリンピック採用に向けて全面協力していきます!
総評するとeスポーツがオリンピック競技化されるまでには、もう少し時間がかかりそうな印象です。
オリンピックのeスポーツ機関「Olympic Virtual Series」が、次回のパリオリンピックで、何か大きなアクションを起こしてくると予想されます。
課題はいくつかありますが、どれも解決可能な小さな問題ばかりだと思うので、期待がふくらみます。
eスポーツのプロ集団である東京ヴェルディeスポーツと名古屋OJAも、eスポーツがオリンピック種目として採用されるよう、働きかけを行っていきます!
この機会にぜひeスポーツの魅力に触れてみてください。